プラントハンター

プラントハンター 命を懸けて花を追う

プラントハンター 命を懸けて花を追う

著者は、植物卸問屋「株式会社 花宇」の5代目。世界中を駆け巡り、日本に入ってきていない珍しい植物を追い求めている。副題で「命を懸けて花を追う」とあるように、著者が日本各地世界各国、いろんなところで出会った「花」の話が盛り込まれているのが本書である。

一番興味深かったのが、樹齢200〜700年のオリーブの日本への輸入。1ヶ月にも及ぶ海上輸送をどうやって乗り越えるか、これが最大のポイントだったようだ。日本の植物の検閲は非常に厳しい。土の中に、わずかな風土病や病原菌が混じっているだけでも、検閲が通らないので、まず土を完全に払い落とし、そして根も切り落とす。また、活発な運動を避けるために、葉も切り落とす。そして、検閲をパスした人工土に植え替えて、輸送を行う。もちろん、輸送時の温度調節にも気を配らねばならない。これが1ヶ月も続くのだ。
このオリーブの話以外に、世界最大の木「ボトルツリー」の輸送の話も必見。挿絵に入っている「輸送シーン」には圧倒された。ここのサイトに写真があるように、ボトルツリーはかなり特徴的な形をしている。
http://www.yonemura.co.jp/main/engei/mame/006/006f.htm

世界各国駆け回るこの行動力はどこから来るのだろう?それは、心から花を愛で、今まで誰もやっていないことをやりたいというチャレンジ精神から来るのだ。読んでいて少しうずうずしてきた。

著者のブログ「Plant Hunter」http://blog.hanau.jp/


そういえば、「プラントハンター」という言葉、今回初めて聞いたのだが、同じタイトルの本は他にもあるようだ。Wikipediaにも載っている。

プラントハンター「17世紀から20世紀中期にかけてヨーロッパで活躍した職業で、食料・香料・薬・繊維等に利用される有用植物や、観賞用植物の新種を求め世界中を探検・冒険する人のこと。」(Wikipedia)


プラントハンター (講談社学術文庫)

プラントハンター (講談社学術文庫)

プラントハンター東洋を駆ける―日本と中国に植物を求めて

プラントハンター東洋を駆ける―日本と中国に植物を求めて

これらも読んでみる価値がありそうだ。