マイ仏教

マイ仏教 (新潮新書)

マイ仏教 (新潮新書)

目次

第1章 仏像少年
第2章 青春という名の「荒行」
第3章 諸行無常諸法無我
第4章 地獄ブームと後ろメタファー
第5章 ご機嫌な「菩薩行」
第6章 いつも心に「マイ仏教」を!

みうらじゅんから、「人生の道しるべ」となりそうな言葉を与えてもらえることが多い。そういった言葉を紡ぎ出し、そしてそう思わせる天才だとも思う。仏教ブーム、マイブーム、地獄の話など、面白い話が多いけども、本書で特に興味深いのは、第5章(ご機嫌な「菩薩行」)と6章(いつも心に「マイ仏教」を!)。
第5章では、相手の機嫌を取ることを勧めている。よく「自分探しをしたい」という人がいるが、それに何の意味があるのか。そんなものを探しても、答えがある訳でもなく、それよりも「自分なくし」をした方がはるかに具体的な解決策になると述べている。他人のご機嫌も取れるし、回り回って自分も特をする、と。おそらく、ほとんどの人が「本当の自分とは何か?」と一度は考えたことがあると思う。自分もそんなことを常に考えていた時期もあったが、結局何も見つからなかった気がする。そんなときに、他書で、みうらじゅんが本書と同じようなことを述べていて、何か新鮮な気分になれた気がしたのを覚えている。
第6章では、自分だけの念仏を唱えることの勧めだ。さまざまな「苦」に対して、「自分にとっての念仏」を唱えることによって、少しでも気が楽になればいい、と。著者にとっての自分だけの念仏は、「そこがいいんじゃない!」のようだ。お釈迦様にとっての「南無阿弥陀仏」と同じようなものらしい。これも全く同意で、自分もこの念仏らしきを持っている。最近、誰かさんが「神の仕業」なる発言をしていたが、これも個人に置き換えたら自分だけの念仏になると思う。(発言力のある人が、他者に対して言ったから、あの件はまずかったのであって、個人だけで使うのであれば非常に有益だと思う) 個人的なミスをしたときに、「神の仕業」とか言っていれば、少しは気が楽になると思いますよ。気が沈んで、何も手をつかなくなるよりは、何倍も良いと思う。念仏を唱えてから、何か行動するのが大事だと思うのです。